Vol.20

ロサンゼルスは、ビバリーヒルズのような、高級ブティックとデザイナーズホテルが立ち並ぶスーパーセレブな地域と、ダウンタンのように、一 本道をそれると命の危険さえ感じてしまう、危ない地区がある。日本で言われてるような「格差」どころではない、雲泥の隔たりを群青色の空の下に包み隠している。

“Bottega Louie”は、そんなダウンタウンにある。前回ピックアップした“le Pain Quotidien”、“JOAN'S on THIRD”と同じくデリ・テイクアウト・スペースを併したイタリアンレストランだ。真っ白な漆喰仕上げの柱や高い天井の縁には装飾が施され、マーブル柄の白い大理石と、アンティーク調の木質のイス、黒革のベンチシートと、白黒茶色とシンプルな色の構成の中、角を抑えるすべての金具がゴールドとあって、広々とした店内は品格と温かさが同居する洗練された空間だった。店構えがリッチで高級感あふれた贅沢な造りなのに、値段は意外とリーズナブル。まわりのオフィスのビジネスマン利用が多いこともあると思うが、昨今、国を違えどもコストパフォーマンスは時代の流れなのかもしれない。

ダウンタウンのオフィス街では、もう一軒“CiUDAD”に立ち寄った。有名な女性シェフコンビが南米、スペイン、キューバなどを旅したあとに立ち上げたお店だそう、らしい。アメリカの料理番組「フード・ネットワーク」でも度々紹介されるレストランだ。僕たちは本日二度目のランチをいただいた。タコスやらトルティーヤ、ガスパッチョが「ラテン的に合体した料理(陽気で細かいことを気にしない!)」とでも申し上げましょうか・・。
例えば、日本、韓国、中国など混ぜるとしたら、天ぷらそばのてんぷらを酢豚に変えて、和だしにコチュジャン。ナムルをマヨネーズで和えて、キムチを刻んでぶっかけて、そして、カエルを浸したXO醤を・・・・・もういいですか?
アメリカは広いなぁ〜と再確認したランチでした。長いカウンターや気持ちのいいテラス席があるので、きっと夜、タパス的にみんなでワイワイと飲むのが正解なんでしょうね〜。御馳走様、グラシアース!アディオース・アミーゴ〜!

店探しをしている途中、ダウンタウンの裏路地に車が迷い込んだ。路肩の塀沿いに数え切れないほどの浮浪者たちがへたり込んでいた。何をするわけでもなく呆けてうつろな瞳を車道に漂わせる。「赤信号にひっかかって、止まるとやばいな・・」。運転している軍曹のつぶやきに縮みあがった。ここらでは、信号待ちしている車に物乞いやら、あたり屋やら、銃を持った強盗が湧いてくるらしい。恐ろしい。ぺたぺたにアクセルを踏み込まれた巨大ラウンドクルーザー「リンカーン・ナービゲーター」が、雄たけびをあげ舗装されていない道を激走する。命からがら、ダウンタウンからビバリーヒルズへと向かう車窓から、山の中腹にあの有名な“HOLLY WOOD”の看板が出現。まさしく地獄に降り注ぐ天上の光といった絵柄に、一同大いに沸き立った。「神さまぁ〜、オラ達を連れて行ってくだせぇ〜」。完全に観光客気分全開だ。


目的地は、旧メリディアン改め装いも新たにオープンした開業間もない、“SLS HOTEL”。ロサンゼルスにフィリップ・スタルクデザインのホテルやレストランは、結構あるのだが、ここは、超最新バージョンの彼の頭の中身がぶちまけられていた。フランスで話題になった、スタルクデザインのホテル・レストラン“ママ・シェルター”のコンセプトをさらに進化、ゴージャスにした感じ。隅々までデザインされた空間に圧倒されまくった。
また、ホテルの最大のウリはレストラン、“BAZZAR”の存在だ。アメリカでも人気を博した、USA版料理の鉄人に出演したホセ・アンドレス Jose Andresプロデュースのレストランらしい。ハングリーモンスター中塚総料理長もノックアウトした、その斬新かつ美味い料理の数々。また、カルフォルニアワインの素晴らしいことと言ったら・・・。


次回、ねじれのん“おやじーずinカルフォルニア4”は、ロサンゼルスの最新ポイント
“SLS HOTEL&Restaurant BAZZAR”を、金指光司のスタルク分析&ポトマック総料理長中塚寛治氏の料理解説にて、徹底的にレポートします!乞う、ご期待!!